聖光学院は、今年も3人に1人は現役で東大合格という全国屈指の東大進学率、キリスト教の中でも厳格なイメージのカトリック校で、校訓は「紳士たれ」。ビシッとしたイメージがありますが、学力と進学意欲の高い子が集まっていても、決して「受験勉強だけ」に特化しているわけではありません。
原石のような生徒たちを「紳士」として成長させる働きかけに惹かれて取材を申し込んだところ、今回は特徴的な「選択芸術講座」について寄稿を頂くことが出来ました。
脱・進学校と東大合格者数の上昇
県内で1、2を競う進学校と聞くと、多くの方は、脇目もふらず勉強ばかりしている生徒が通う学校というイメージを持たれるかもしれません。しかし、聖光学院中学校高等学校は、そうではありません。
校長工藤の方針で、「脱・進学校」「開かれた学校」「学校に縛り付けない教育」を目指してきました。校長が長年教育現場にいる経験で、勉強ばかりさせても、あるいは暗記と詰込み教育だけでは東大合格者は増えないと確信したからです。
では、具体的に「脱・進学校」とはどんなものか、典型的な例として挙げられるのは2002年から始めた「聖光塾」と、「選択芸術講座」です。
「聖光塾」は正規の授業のカリキュラムの内容や学年の枠を超えた、外部から特別講師をお招きする講座です。生徒各自の興味や関心を発見し、優れた能力をさらに伸ばそうと考えました。
「里山の自然」「おもしろ実験教室」「遺伝子組み換え実験」「フライフィッシング入門」など体験的な学習で生徒の知的好奇心を刺激し、学習や活動に対する意欲を引き出すことを目指しています。
また「選択芸術講座」は優れた音楽や絵画、演劇、陶芸などに接して美に感動する感性を養い、想像力豊かな人間を育成したいと願ってスタートしました。プロの芸術家を養成しようというのではありません。
「聖光塾」も「選択芸術講座」も、知と学びの土台づくり≠ナあり、情操教育です。受験勉強とは直接には結び付きません。しかし、それによって得た文化的な成熟がないと、知性、感性、総合力は向上しないのです。
これらの講座を導入した結果、知的好奇心が刺激され、生徒たちの学習意欲が向上しました。東大合格者数の上昇と「脱・進学校」はリンクしていたのです。
それは、聖光学院中学校高等学校の6年間という一貫した体制があってこそ可能です。生徒を6年間お預かりするなかで、どの時点で、どんな種をまいて育てるか。その見極めがポイントだと思います。
校長先生は、以下のように述べられています。
私は「枕ことばで語らない教育」を主張してきました。例えば「進学校だから、クラブ活動はやらない」というように「進学校だから〇〇」という考え方に縛られたくなかったのです。そのために私は学校行事や宿泊イベント、部活動などを推奨しました。好きなことで生徒が輝くというのは、とても重要なことです。
抜群の進学実績だけでなく、典型として挙げられている「聖光塾」と「選択芸術講座」をはじめ、一昨年からはSSH指定校にもなり、レゴシリアスプレイなども導入していたり、国語の群読があったりと、体験を通して視野が広がるような取り組みがとても豊富な学校です。
今年は説明会以外の公開行事は終了していますが、説明会の際には校内見学も可能で、まだ新しい校舎の様子なども見ることが出来ます。来年度以降の受験生の方は、4月の聖光祭や6月の聖光を知る会などもあり、知る会では中学1・2年生が受験や学校生活について話してくれる座談会もあるので、ぜひ足を運んでみてください。
【1】脱・進学校と東大合格者数の上昇
【2】選択芸術講座について